日で天地は宮居なり、宮柱生きたりな。
時ありて、おぼろげに言告ぐらしも。
象徴の森わけて、人間のここをよぎるに
森の目の、親しげに、見まもりたるよ。
夜のごと、光のごとく、底ひなき、
暗くも深き冥合の奥所なる、
声長き遠つ木魂の、とけ合うとさながらに、
匂いと、色と、ものの音と、相呼び合うよ。
匂いあり、爽かさ幼児の肌さながらの、
やわらかさ木笛に似たる、さみどりの牧原めける、
――またありぬ、こは敗頽の、豊なる、奢れる匂い、
例うれば、竜涎、麝香、燻香や安息香や
果てしなきものの姿にひろがりて
感覚の、知覚の、無我の法悦を謳歌したりな。
Correspondances
ボードレール作 堀口大學訳
時ありて、おぼろげに言告ぐらしも。
象徴の森わけて、人間のここをよぎるに
森の目の、親しげに、見まもりたるよ。
夜のごと、光のごとく、底ひなき、
暗くも深き冥合の奥所なる、
声長き遠つ木魂の、とけ合うとさながらに、
匂いと、色と、ものの音と、相呼び合うよ。
匂いあり、爽かさ幼児の肌さながらの、
やわらかさ木笛に似たる、さみどりの牧原めける、
――またありぬ、こは敗頽の、豊なる、奢れる匂い、
例うれば、竜涎、麝香、燻香や安息香や
果てしなきものの姿にひろがりて
感覚の、知覚の、無我の法悦を謳歌したりな。
Correspondances
ボードレール作 堀口大學訳
#
by lotus-suiren
| 2006-08-16 00:52